from La'cryma Christi
デビュー15周年記念のライブが終わった今、幸せな寂しさに包まれ、去来する3つの思いがある。
それを伝えたい。
まずは単なる懐古主義ではなくて、新しい未来を切り開いているのを感じたこと。
10年、15年、もっと前からある曲ばかりだったから、いわば門扉はビンテージ。
だけど、一旦それを開くと斬新な世界が拡がった。斬新な世界とは誰も視たことのない世界。
それを実現できるバンド、それを実現できるVOCALだと改めて自覚することができた。
月の歌を奏でると、安らぎと優しさが会場を染めた。
燃え盛る炎の歌を奏でると、研ぎ澄まされ強固となった魂が姿をあらわした。
儚き愛を響かせると、痛みや哀しみでさえ、無常の世界に生きる証と感じられたんだ。
もしかすると僕らと皆は、誰も視たことの無い未来を一足先に視たのかも。
次は色即是空 空即是色(しきそくぜくう くうそくぜしき)。
般若心経に出てくるフレーズ。見えるものも見えないものも同じく存在するということ。
たしかに音は目に見えないけれど、いくつもの音が合わさり音楽になり伝わったとき、人のなかに勇気が芽生える。
その勇気だって目には見えない。でも、勇気はやがて言動になり少しずつかもしれないけれども姿を見せるだろう。
だから、どん底と言っていいところまで落ちている、今この世界の波動を、ラクリマの音楽や歌で引き上げたい、そして幸せの波動で皆を包みたい、そう思ったんだ。
全国どこの場所でも、みんなの笑顔を見るたび、その思いが結実したと感じた。
同時に、この世界、この星に、自分が舞い降りた使命を噛みしめていた。
3つ目は自分の言葉の真意を悟ったこと。
「俺たちの過去も、現在も、未来も全部愛してください」。この言葉は天から降りてきたんだ。
今回のツアーのステージに立つモチベーションや意味、願いや思い、すべてを言い表していると思った。
だから、毎回ステージで発した。コトダマにした。だけど…。その言葉の真意は実はもっと深いところにあった。
最終公演でそれに気づいたんだ。いや、気づかせてもらったんだ。誰に?君に。皆に。
だから言わせて。皆の光があるから僕らは輝けるんだ。ありがとう。
いつかまた会えることを約束するよ。その時まで輝いた君でいてね。愛しているよ。
── 誰も視たことの無いキリストの涙の彩を表現したい ──
そんな思いでラクリマ・クリスティーと名付けたことを誇らしく思っている。
La’cryma Christi