HIRO Vol.1

- 2023.06.29

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KOJIオフィシャルサイトの開設にともない、特別寄稿で胸中を吐露したHIRO。ラクリマ解散後も唯一ジョイントライブをおこなう仲だったことも踏まえ、ここではKOJIとの今までの思い出や今の気持ちを率直に語ってもらった。すると、親しい関係者ですら知らなかった事実が飛び出す。それはきっと逝ってしまったKOJIのため、今なおKOJIを愛するファンのため、そしてHIRO自身がKOJIを忘れないため、ここに残しておきたかったのではないだろうか。

 

VOL.1

 

──KOJIとの出会いから聞かせてください。

「先にLEVINがバンド(STRIPPE-D-LADY)に入っていて、僕が「ツインギターでやりたい」と言ったとき、「だったら、いいギタリストがいますよ。ザック・ワイルドみたいなカッコいいのが」と推薦してくれたんです。KOJIとLEVINは学生時代からの友達だったので。最初に、KOJIと一緒に練習スタジオに入ったとき、僕が「LEVINがザック・ワイルドだって言ってたよ」と伝えたら、「とんでもないです」と苦笑いしていました。となりでLEVINが「もっと売り込めよ」とけしかけていたけど(笑)。プレイした第一印象は、洋楽ハードロック好きのギター小僧でした。テクニカルなプレイもできてたし。そこは僕にないものでした。ま、ただ、自分にはないものを特別求めていたわけじゃないけど、バランスという点でも、よくできた偶然でした。KOJIが加入すると決まってからは、すぐ二人でスタジオに入りました。で、「ここはこれ弾いて」「そこはこうして」とか、いきなりたくさん注文したら、「ちょ、ちょっと待ってください」って戸惑っていたのを思い出します」

 

──KOJIは、バンド加入直後から、作曲にたずさわっていましたか?

「KOJIが加入してからすぐ…あれはKOJIだけで作ったのか、LEVINも一緒に作ったのか、そこはわからないけど…アメリカンでハードなロックンロールが2曲あったんです。それをライブでやっていました。でも、僕はどうにも受け入れられなくて…。僕が大嫌いなタイプの曲だったので。だから、TAKAに「この手の曲をやり続けるなら脱退する」と言ったこともあります。結局、引き留められたわけですけど」

 

──KOJI楽曲の可能性を見たのは、どの曲でしたか?

「のちにラクリマ・クリスティーとしても発表した「Siam's Eye」です。まだラクリマになる前だったけど、KOJIがコード進行とか、大枠を作って、TAKAがメロディをつけて、みんなでアレンジすることになったけど、当日なぜかKOJIがスタジオに来ませんでした。だから、LEVINと当時のベースと僕でアレンジしたら、すごくいい感じでまとまりました。インディーズ時代の音源がそれです。ただの明るい曲じゃなく、不思議な感じに仕上がったのですごく満足したのを覚えています。みんなでアイデアを出し合いながらひとつの方向性に集約していく進め方だったり、それで得られる満足感は、あのとき初めて味わった気がします。メジャーデビューしてから徐々に「未来航路」とかのシングル曲を作るようになって、KOJI作曲のシングルが続きました。そのあたりから僕は、シングルのカップリンであることも意識して、暗めのマニアックな曲を作るようになっていきました。でも、「Without you」「永遠」は、アルバム『magic theatre』に収録されなかったので、KOJIとしては「なんで?」という思いがあったんじゃないですかね。そこからKOJIの作る曲が少し変わった気がします」

 

 

 

インタビュー・構成 藤井徹貫